処理水放出 中国禁輸、輸出拡大戦略に狂い 食品700社に影響か
8月26日時事通信社によると、東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出開始を受け、中国は日本産水産物を全面禁輸する対抗措置に出た。 禁輸対象が従来の10都県から全国に拡大されており、影響は食品輸出企業700社超に及ぶとの調査もある。日本の「農林水産物・食品」の年間輸出額を2030年に5兆円へ拡大する政府の戦略に狂いが生じそうだ。
「輸出が減少することは間違いなく避けられない」。25日の閣議後記者会見で、中国による全面禁輸の影響について野村哲郎農林水産相はこう語った。年間輸出額は21年に初めて1兆円を超え、増加を続けてきた。輸出先で1位の中国と2位の香港が輸出額全体に占める割合は23年上半期(1~6月)で約38%、水産物に限ると半分近くに達する。
特にホタテ貝は、輸出先に占める中国の割合が高い。加工のための経由地として輸出されるケースも多く、別の地域に振り向けるには国内に加工施設を整備する必要があるという。野村氏は「国内消費の拡大や加工体制の強化、新たな輸出先開拓など臨機応変な対策に万全を期す」と強調した。
帝国データバンクが25日公表した調査によると、中国(香港・マカオ含む)に輸出する国内企業は9270社と、この4年で8割超、増加した。このうち、直接・間接的に食品を輸出しているのは727社で、水産品に限っても164社に上る。
近年の日本食ブームを背景に、食品輸出企業では販売に占める対中輸出の比率が1社平均で55.9%と輸出企業全体の平均(42.8%)より高く、「最大の得意先」となっている。帝国データは「2次、3次取引などを含めた多くの企業で甚大な影響が及ぶとみられ、国内市場や代替輸出先の確保を急ぐべきだ」(情報統括部)と指摘している。
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